夏の飲み過ぎに注意!アルコールの過剰摂取で起こりうる危険性を解説

暑い日に飲む冷たいビールやチューハイは、格別においしく感じるものです。
その一方で、夏は冷たいお酒を飲む量が増えやすく、飲み過ぎに注意したい季節でもあります。総務省統計局の家計調査でも、ビール類の購入量は夏場に向けて増加する傾向が示されています。
短時間に大量のお酒を飲めば、急性アルコール中毒を起こす可能性があります。暑さで汗をかいている場合は、脱水や熱中症にも注意が必要です。また、胃腸薬や二日酔いに使われる市販薬を飲んでも、アルコールの過剰摂取による危険性がなくなるわけではありません。
今回は、夏の飲み過ぎで起こりうる症状と、市販薬を使用するときの注意点を解説します。
どうして夏の飲み過ぎには注意が必要なの?
夏は冷たいお酒が飲みやすく、ビールやチューハイなどの飲酒量が増えやすい季節です。
バーベキュー、夏祭り、海水浴など、屋外で長時間お酒を飲む機会もあります。暑さやのどの渇きから、いつもより速いペースで飲んでしまうこともあるでしょう。
しかし、短時間に大量のアルコールを摂取すると、血液中のアルコール濃度が急激に上昇します。その結果、意識の低下、嘔吐、呼吸状態の悪化などを伴う急性アルコール中毒を起こす可能性があります。
東京消防庁の2024年の統計では、急性アルコール中毒による救急搬送者は年間1万4,190人でした。月別では、気温が高く発汗が多くなる時期と、忘年会シーズンに搬送者が多くなっています。
急性アルコール中毒の原因は短時間の大量飲酒
夏に急性アルコール中毒が増える大きな理由は、冷たいお酒の飲酒量が増えやすく、短時間に多くのアルコールを摂取してしまうからです。
発汗そのものが急性アルコール中毒を引き起こすわけではありません。ただし、大量の汗をかいて水分が不足した状態で飲酒すると、アルコールによる体調不良に脱水や熱中症が重なる可能性があります。
「のどが渇いたからビールを飲む」という飲み方ではなく、水や麦茶などで水分を補給することが大切です。
お酒は純アルコール量で確認する
アルコールの摂取量は、飲んだ液体の量ではなく「純アルコール量」で考えます。
純アルコール量は、次の式で計算できます。
お酒の量(ml)×アルコール度数÷100×0.8
アルコール度数5%のビール500mlに含まれる純アルコール量は、約20gです。
厚生労働省は、1回の飲酒機会で純アルコールを60g以上摂取する「一時多量飲酒」を避けるよう示しています。
ビール5%の場合、500ml缶3本で純アルコール約60gになります。ただし、60gまでは安全という意味ではありません。体質や体調によっては、これより少ない量でも強い症状が現れます。
飲み過ぎに使われる薬は危険性を下げてくれるわけではない
市販の胃腸薬などには、二日酔いによる吐き気、胃の不快感、胃もたれなどを効能としている製品があります。
ただし、これらは飲み過ぎによって現れた症状を緩和するための薬です。
胃腸薬などを飲んでも、次のような効果はありません。
- 血液中のアルコールをすぐに減らす
- 急性アルコール中毒を予防する
- 酔いをすぐにさます
- 脱水や熱中症を防ぐ
- 飲酒による肝臓や膵臓への負担をなくす
- 飲酒後の事故を防ぐ
薬を飲んで胃の不快感が軽くなったとしても、体内からアルコールがなくなったわけではありません。
「薬があるから飲み過ぎても大丈夫」と考えるのは危険です。飲み過ぎに使われる薬は、大量飲酒を安全にするためのものではありません。
飲み過ぎで起こりうる症状
飲み過ぎによる症状は、飲酒中だけでなく、数時間後や翌日に現れることもあります。
吐き気・嘔吐・胃の痛み
アルコールの過剰摂取によって、吐き気、嘔吐、胃もたれ、胸やけ、胃の痛み、下痢などが起こることがあります。
嘔吐を繰り返すと、水分や塩分が失われます。意識が低下した状態で嘔吐すると、吐いたものが気管に入り、窒息する危険性もあります。
頭痛・だるさ・口の渇き
飲酒後には、頭痛、だるさ、口の渇き、集中力の低下などが現れることがあります。
夏は、脱水や熱中症でも頭痛、吐き気、だるさ、めまいなどが起こります。「いつもの二日酔い」と決めつけず、暑い場所に長時間いた場合は熱中症の可能性も考えましょう。
判断力・運動機能の低下
お酒を飲むと、注意力や判断力、運動機能が低下します。
その結果、転倒、交通事故、水難事故、けがなどにつながることがあります。特に、飲酒後の海水浴、川遊び、自転車の運転、機械の操作などは危険です。
また、厚生労働省は、飲酒中や飲酒後の入浴・運動も避けるべき行動として挙げています。血圧の変動や転倒などにつながる可能性があるためです。
急性アルコール中毒
短時間に大量のお酒を飲むと、急性アルコール中毒を起こすことがあります。
次のような症状が見られる場合は、命に関わる危険な状態です。
- 呼びかけても反応しない
- 意識がもうろうとしている
- 立てない、歩けない
- 嘔吐を繰り返している
- 呼吸が遅い、浅い、または不規則
- けいれんを起こしている
- 体が冷たくなっている
- 顔色や唇が青白い
- 大きないびきをかいて起きない
このような場合は、単なる酔いや二日酔いとして様子を見ず、すぐに119番へ通報してください。
飲み過ぎたときに市販薬を使う際の注意点
薬ごとに決められた服用方法を守る
胃腸薬は、製品によって成分や服用するタイミングが異なります。
「胃腸薬はすべて食後に飲む」とは限りません。箱や添付文書に記載された用法・用量を確認してください。
一般的な服用時期は、次のように示されています。
- 食前:食事の約1時間~30分前
- 食後:食事が終わってから約30分以内
- 食間:食事から約2時間後
- 就寝前:就寝する約30分前
- 頓服:症状が現れたとき
「食間」は、食事中という意味ではありません。
薬は決められたタイミングで服用する必要があります。飲み忘れたからといって、2回分を一度に飲んではいけません。
症状がつらくても量を増やさない
薬は、量を増やせば早く効くわけではありません。
決められた量を超えて服用すると、副作用や薬による中毒が起こる可能性があります。複数の胃腸薬や鎮痛薬を併用すると、同じ成分を重ねて摂取してしまうこともあります。
症状が改善しない場合は、別の原因の可能性も含めて、早期に医療機関の受診がおすすめされます。
二日酔いの頭痛でも鎮痛薬を安易に服用しない
一般用の解熱鎮痛薬には、添付文書に「服用前後は飲酒しないでください」と記載されている製品があります。
飲酒後の頭痛だからといって、手元にある鎮痛薬を安易に服用するのは避けましょう。
特に、アルコールを日常的に多く飲む人がアセトアミノフェンを使用する場合は、肝機能障害に注意が必要です。
薬を選ぶときは、飲酒した量や時間、普段服用している薬を薬剤師へ伝えてください。
かぜ薬や睡眠改善薬とお酒を一緒に使わない
かぜ薬、鎮静薬、睡眠改善薬、抗ヒスタミン薬などには、眠気を起こす成分が含まれていることがあります。
アルコールと一緒に使用すると、眠気、ふらつき、注意力の低下などが強く現れる可能性があります。
市販の睡眠改善薬にも「服用前後は飲酒しないでください」と記載されています。酔っているのに眠れないからといって、睡眠改善薬を追加してはいけません。
泥酔している人に薬を飲ませてはいけない
泥酔している人や、意識がはっきりしない人に薬を飲ませてはいけません。
水、食べ物、薬などを無理に口へ入れると、気管に入って窒息する危険性があります。無理に吐かせることも避けてください。
呼びかけても反応しない場合や、呼吸がおかしい場合は、すぐに119番へ通報します。

意識はないものの普段どおりの呼吸がある場合は、体を横向きにする「回復体位」を取らせます。吐いたものがのどに詰まらないようにし、救急隊が到着するまで一人にしないでください。
処方薬を自己判断で休薬・追加しない
普段から処方薬を服用している人は、飲酒を理由に自分の判断で薬を休んだり、服用時間を変更したりしないでください。
アルコールとの影響は、薬の種類や治療中の病気によって異なります。飲酒してよいか分からない場合は、事前に医師または薬剤師へ相談しましょう。
夏にお酒を飲むときの注意点
夏の飲み過ぎを防ぐため、次の点を意識しましょう。
- 飲む量を事前に決める
- 一気飲みをしない
- 空腹のまま飲まない
- 飲酒の合間に水や炭酸水を飲む
- のどの渇きをお酒で満たそうとしない
- 体調が悪い日は飲まない
- 飲酒後の運動や入浴を避ける
- 飲酒後に海や川へ入らない
- 薬を服用している場合は事前に確認する
- 酔った人を一人にしない
厚生労働省も、飲酒前や飲酒中に食事を取ること、飲酒の合間に水を飲むこと、あらかじめ飲む量を決めることを勧めています。
まとめ
夏は、冷たいビールやチューハイなどの飲酒量が増えやすい季節です。
短時間に大量のお酒を飲むと、急性アルコール中毒を起こし、意識や呼吸に異常が現れることがあります。暑い場所では、脱水や熱中症の危険も重なります。
胃腸薬や二日酔いに使われる市販薬は、吐き気や胃の不快感などを和らげるためのものです。急性アルコール中毒や脱水などの危険性を防いでくれるわけではありません。
また、鎮痛薬、かぜ薬、睡眠改善薬など、飲酒前後の使用を避ける必要がある薬もあります。ご不明な点は、ご利用の薬局やドラッグストアなどの薬剤師に聞いてみるのが良いでしょう。





