夏風邪とは?症状や原因、かからないようにするための予防法を紹介

夏は暑さによる体力の低下や冷房による温度差など、様々な要因で免疫力が下がりやすい季節です。
そんな夏に流行するのが「夏風邪」です。夏風邪は冬の風邪とは原因となるウイルスが異なり、症状や特徴にも違いがあります。特に子どもがかかりやすいイメージがありますが、大人も油断はできません。
この記事では、夏風邪の特徴や原因、効果的な予防法について詳しく解説していきます。
夏風邪とは
夏風邪とは、6月末から8月にかけて流行するウイルス感染症の総称です。冬の風邪とは異なり、夏風邪の原因となるウイルスの多くは高温多湿の環境を好む特徴があります。そのため、夏の暑い時期に流行しやすく、症状も冬の風邪とは少し異なります。
代表的な夏風邪としては、「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱(咽頭結膜熱)」などが挙げられ、特に小さなお子さんが感染しやすいという特徴がありますが、大人も感染することがあります。
夏風邪になる原因の解説
夏風邪は一般的な風邪(風邪症候群)とは原因となるウイルスや症状がやや異なります。夏風邪にかかりやすくなる要因には、ウイルス感染だけでなく、夏特有の生活習慣や環境の変化も関係しています。ここでは、夏風邪の主な原因について詳しく解説します。
夏風邪の原因ウイルス
夏風邪の原因となる主なウイルスは、エンテロウイルスとアデノウイルスです。これらのウイルスは1年を通して活動していますが、高温多湿の環境を好む性質があり、特に夏場に流行します。
エンテロウイルスは、ピコルナウイルス科に分類される小型RNAウイルスで、67種類のウイルス株の総称です。コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルスなどもエンテロウイルスに含まれます。これらのウイルスは手足口病やヘルパンギーナなどの原因となります。
一方、アデノウイルスは咽頭結膜熱(プール熱)や流行性角結膜炎、胃腸炎などを引き起こします。アデノウイルスは変異しやすく、それぞれが別の型なので、一度感染して抵抗ができても別の型には感染して症状が出ることがあります。
免疫力の低下
夏は暑さによる体力の低下や食欲不振などで免疫力が低下しやすい季節です。免疫力が低下すると、ウイルスに対する抵抗力も弱まり、夏風邪にかかりやすくなります。
特に夏バテによる体力・食欲の低下は、免疫力低下の大きな要因となります。夏バテは体力や食欲不振につながるため、夏風邪には大敵です。また、睡眠不足も免疫力を低下させる原因となります。
冷房による温度差
夏は冷房の効いた室内と高温の屋外との温度差が大きくなりがちです。この急激な温度変化は自律神経のバランスを崩し、体の抵抗力を弱めます。
外気との温度差は4℃程度以上体感した場合、急激な変化に体が対応できなくなり、免疫力の低下につながります。また、冷房の冷気に直接当たると体が冷える原因になり、鼻や喉を乾燥させてしまい夏風邪を引き起こしやすくなります。
冷たい飲食物の摂りすぎ
夏は暑さから冷たい飲み物や食べ物を多く摂る傾向がありますが、これも夏風邪の原因となります。冷たいものの摂りすぎは腸を冷やし、免疫力の低下につながります。
免疫の約60~70%は腸にあり、腸の働きが落ちれば免疫力も当然下がります。また、腸が冷えると血行が悪くなって体温も下がります。体温が1℃下がると免疫力は30%も下がるといわれています。
入浴習慣の変化
夏はシャワーだけで済ませがちですが、湯船に浸からないと体が十分に温まらず、体温が上がりません。体温が下がれば、免疫力も必然的に下がってしまいます。
お風呂に浸かることで、体温が上がり、体が熱を逃がそうとしてゆるやかに体温を下げることもあります。また、お風呂に浸かることによって、体全体の血行が良くなり、筋肉のこわばりを和らげ、血管を拡張させる効果もあります。
夏風邪を予防する方法とは
夏風邪を予防するためには、原因となるウイルスの感染を防ぐことと、免疫力を高く保つことが重要です。ウイルスは手指や飛沫を介して感染するため、基本的な予防策を徹底することで感染リスクを減らすことができます。また、夏特有の生活習慣を見直すことで、免疫力の低下を防ぐことも大切です。
手洗い・うがいの徹底
手洗いは手指などに付着したウイルスを物理的に除去するために有効な方法で、うがいは口の中を清浄にします。両方とも夏風邪予防の基本です。
正しい手洗い方法としては、まず流水で手を洗ってから、せっけんを手に取って泡立て広げます。手のひら、指の腹面、手の甲、指の背、指の間(側面)、指の付け根、親指と親指の付け根のふくらんだ部分、指先、そして最後に手首(内側、側面、外側)を、順番にていねいに洗っていきます。せっけんを十分な流水でよく洗い流してから、ペーパーなどで手をふいて乾燥させます。
うがいの方法としては、まず水を口に含んで、強くクチュクチュしながら、口の中を2~3回洗い流します。そして、上を向いて、のどの奥の方で10回ほどガラガラとうがいをして(10~15秒ぐらい)、水をはき出します。これを数回くり返します。
適切な水分補給
風邪予防には1日約1.5~2Lの水分摂取が適切とされています。水分が不足して粘膜が乾燥してしまうと線毛の働きが弱まり、ウイルスが体内へと入りやすくなってしまいます。
こまめな水分補給で喉をうるおし、ウイルスを侵入させないよう注意してください。朝や就寝前はもちろん、日中もこまめに飲むよう気をつけてみてください。喉が渇いたときはもちろん、喉が渇く前に飲むのがコツです。
適切な室温管理
冷房の設定温度は26度~28度程度が望ましいとされています。冷房の冷気には直接当たらないように移動したり、風向きを調整しましょう。
また、冷房の温度が低いことで屋外との温度差が大きくなり、免疫力が低下します。夏だからと薄着になりすぎず、寒暖差に応じて脱ぎ着しやすい服装にしましょう。カーディガンやストールなど、上から羽織れるものを用意しておくと良いでしょう。
バランスの良い食事と十分な休養
免疫力を向上させるためには、1日3食バランスよく食べることも大切です。たんぱく質を含む食品(魚、肉、卵、大豆製品、乳製品など)は免疫細胞の原料となり、食べると体温が上がります。
また、抗酸化作用があるビタミンA・C・Eを含む食品(緑黄色野菜や果物など)は免疫機能の低下を防ぎます。食物繊維を豊富に含む食品(野菜類、海藻類、きのこ類など)や発酵食品(ヨーグルト、納豆、みそ、キムチなど)も積極的に摂りましょう。
さらに、十分な睡眠をとることは、風邪予防だけでなく、日々の活動力を保つためにも重要です。風邪の時に睡眠をとることは非常に効果的です。体力を高めてウイルスが死ぬ、あるいは体外へ排出されるまで待つことが大切です。
入浴で体を温める
夏でも湯船に浸かることで、免疫力を上げることができます。冷えた身体を温めるためにはシャワーではなくお風呂に入るようにしましょう。
お風呂の適温は38~40℃前後のお湯にするとよいでしょう。お湯の温度は好みがありますが、のぼせないように調整することが大切です。また、疲労感が出るほどの長湯や、熱いお湯は、体力を消耗してしまうため注意が必要です。
まとめ
夏風邪は高温多湿の環境を好むエンテロウイルスやアデノウイルスによって引き起こされる感染症です。冬の風邪とは原因となるウイルスが異なり、症状や特徴にも違いがあります。
夏風邪にかかりやすくなる主な原因としては、ウイルス感染に加えて、夏バテによる免疫力の低下、冷房による温度差、冷たい飲食物の摂りすぎ、入浴習慣の変化などが挙げられます。
夏風邪を予防するためには、手洗い・うがいの徹底、適切な水分補給、適切な室温管理、バランスの良い食事と十分な休養、入浴で体を温めるなどの対策が効果的です。特に夏は冷房や冷たい飲み物によって体が冷えやすく、免疫力が低下しがちです。体を冷やさないように注意し、バランスの良い食事と十分な休養を心がけましょう。
また、症状によっては、医療機関への受診も必要になります。あまりにも辛いと感じた時には、医師に相談しましょう。