ハチに刺されたらまず何をする?応急処置と危険な症状の見分け方

夏から秋にかけて、ハチに刺される被害が増えます。
日本では毎年平均15人ほどがハチ刺されで亡くなっており、8月を中心に7〜10月が特に注意が必要な時期です。刺されたときに正しく対処し、危険な症状に早く気づくことが大切です。
今回は、ハチに刺された直後にやるべきこと、やってはいけないこと、そして薬局で備えられる対策について解説します。
ハチに刺されるとどうなる?
ハチに刺されると、毒に含まれる成分の刺激で患部が赤く腫れ、強い痛みが出ます。通常は数時間から1日ほどで痛みが引き、かゆみを伴うしこりが残ることがありますが、数日で治まることがほとんどです。
ただし、過去にハチに刺されて、じんましん・息苦しさ・めまい・吐き気などの全身症状が出たことがある方は特に注意が必要です。次にハチに刺されたときに、アナフィラキシーと呼ばれる重いアレルギー反応が起こることがあります。
スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの違い
日本でよく見かけるハチは主に3種類です。それぞれ特徴が異なるため、知っておくと対処の参考になります。
- スズメバチ:体が大きく攻撃性が強い。針を残さず何度も刺すことがある。7〜10月が活動のピーク。
- アシナガバチ:スズメバチより細身。巣を刺激しなければ攻撃してくることは少ない。7〜8月に被害が多い。
- ミツバチ:おとなしい性格。刺すと針が皮膚に残りやすい。針には毒袋がついており、早めに取り除く必要がある。
刺された直後にやるべきこと(応急処置の手順)
ハチに刺されたら、できるだけ素早く次の手順で対処しましょう。
ただし、息苦しさ・めまい・じんましん・意識がぼんやりするなどの全身症状がある場合は、応急処置よりも119番への連絡を優先してください。
ステップ1:その場から静かに離れる
あわてて手で振り払ったり、走り回ったりするとハチを刺激してしまいます。ミツバチは刺すときに攻撃フェロモンを放出し、仲間のハチを呼び寄せることがあります。姿勢を低くして、静かにその場を離れましょう。
ステップ2:全身症状がないか確認する
安全な場所に移動したら、まず全身の状態を確認しましょう。息苦しさ、めまい、吐き気、じんましんなどの症状がないかチェックしてください。全身症状がある場合はすぐに119番へ連絡しましょう。
ステップ3:針が残っていればすぐに取り除く
ミツバチに刺された場合、針が皮膚に残っていることがあります。針には毒袋がついており、時間が経つほど毒が体内に入り続けます。
大切なのは取り方よりもスピードです。ピンセットや爪、カードの縁などで素早く取り除きましょう。毒袋を強くつまむと毒が押し出されることがあるため、横から払うように取り除くのがコツです。
スズメバチやアシナガバチは針が残りにくいですが、何度も刺すことがあります。針が見当たらなくても、痛みや腫れが強い場合は注意しましょう。
ステップ4:傷口を流水でしっかり洗い流す
傷口を指でつまむようにしぼりながら、流水でよく洗い流してください。ペットボトルの水でも構いません。
毒吸引器具(ポイズンリムーバー)をお持ちであれば、刺されたらすぐに使うと毒の排出に役立ちます。ただし、アナフィラキシーの予防にはなりません。
ステップ5:患部を冷やす
流水で洗い終えたら、濡れたタオルや保冷剤で患部を冷やしましょう。冷やすことで、痛みや腫れを和らげ、毒の吸収を遅らせることが期待できます。
ステップ6:抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗る
手持ちの薬があれば、患部に塗りましょう。かゆみや炎症を抑えるのに役立ちます。抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏は、年齢や刺された部位によって適したものが異なります。顔まわりや小さなお子さまに使う場合は、薬剤師に相談してください。
ステップ7:20〜30分は安静にして観察する
処置後は安静にして、全身の状態を観察しましょう。20〜30分ほど様子を見て、全身症状が出ないか確認してください。時間がたってから腫れや痛みが強くなることもあるため、その後も体調の変化に注意しましょう。
やってはいけないNG行動
ハチに刺されたとき、よかれと思ってやりがちな間違いがあります。
アンモニアや尿をかける
「アンモニアが効く」という話は昔から広く知られていますが、医学的には誤りです。ハチ毒の成分は複雑で、アンモニアでは中和できません。かえって皮膚炎を起こす可能性があります。
口で毒を吸い出す
口の中に傷や虫歯がある場合、そこからハチの毒が体内に入る可能性があります。毒を吸い出すなら、専用の吸引器具を使いましょう。
あわてて走り回る・手で振り払う
ハチを刺激してしまい、さらに攻撃される原因になります。姿勢を低くして、静かにその場を離れるのが正しい対処です。
大きなハチ・スズメバチに刺されたときの注意点
体が大きく、オレンジ色や黒っぽい模様が目立つハチは、スズメバチの可能性があります。スズメバチは攻撃性が強く、針を残さずに何度も刺すことがあります。見つけても近づかず、手で払わず、姿勢を低くして静かにその場を離れましょう。
大きなハチに刺された場合や、複数箇所を刺された場合、顔・首まわりを刺された場合は、症状が軽く見えても早めに医療機関へ相談してください。息苦しさ、じんましん、めまい、吐き気、意識がぼんやりするなどの全身症状がある場合は、すぐに119番へ連絡しましょう。
アナフィラキシーの症状と対応
ハチ刺されで最も注意すべきなのがアナフィラキシーです。刺されてから数分〜30分以内に次のような症状が出た場合は、ためらわず救急車(119番)を呼んでください。
- じんましんなど全身の皮膚症状
- 顔や唇の腫れ
- 息苦しさ、のどの詰まる感じ
- 血圧低下、めまい、冷や汗
- 吐き気・嘔吐
- 意識がぼんやりする
アドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方されている方は、症状が出たらすぐに使用し、その後必ず医療機関を受診してください。エピペンはあくまで補助的な治療であり、使用後も医師の診察が必要です。
医療機関を受診すべきケース
次のような場合は、症状が軽く見えても医療機関の受診をおすすめします。
- 過去にハチ刺されで全身症状やアナフィラキシーを起こしたことがある
- 医師からエピペンを処方されている
- 目や首など顔周辺を刺された
- 複数箇所を刺された
- お子さまや高齢の方が刺された
- 刺されてから数日たっても腫れがひかない、または悪化している
- 症状が軽いか判断に迷う場合
受診先は皮膚科が基本です。お子さまの場合は小児科でも対応できます。全身症状が出ている場合は、救急外来を受診しましょう。
ハチに刺されないための予防法
ハチの活動が活発になる7〜10月は、次の点を意識しましょう。
- 黒い服を避け、白や明るい色の服を着る(ハチは黒い色を狙う習性があります)
- 香水や整髪料など強い香りを避ける
- 巣の近くで大きな音を出さない
- 野外活動ではなるべく肌の露出を減らす
- 飲み残しのジュースや食べ物を放置しない
まとめ
ハチに刺されたときの備えとして、ドラッグストア・薬局などでそろえられるものがあります。
※店舗によって異なります。
- 傷口を洗うための清潔な水やウェットシート
- 冷却シートや保冷剤
- 抗ヒスタミン成分を含む塗り薬
- ステロイド成分を含む虫刺され用の塗り薬
- 毒吸引器具(ポイズンリムーバー)
- 虫除けスプレー
「どの薬を選べばいいかわからない」「子ども用はあるの?」といった場合は、スタッフに聞いてみましょう。アウトドアやお庭仕事の前に、必要なものを揃えておくと応急処置に安心することができます。





